仕上げ塗装について

梩では、お箸の木質保護に使用する塗料に下記のもの使用しています。

  • NGCCについてのご説明 【詳しくはこちらへ】

    梩では、通常NGCCと呼ぶ手法を基本仕上げとしております。NGCC(ナノ・ガラス・超越・コーティングの略)とは、特殊なコーティング剤を木に浸透させ、木の繊維自体をガラス質でコーティングする技術です。コーティングを施すことで、耐熱性・耐水性・耐油性・耐摩擦性・表面硬度・抗菌性など様々な材質改善が得られます。
    一般的な塗料とは異なり塗膜は形成されないので、木の通気性は保たれたまま自然な仕上がりが得られるのが特徴です。
    また形成されるガラス質(珪素化合物)は無機化合物で有害化学物質を含まない安全な物質です。勿論コーティング溶液自体も食品衛生法クリアしている安全なものです。

  • 漆についてのご説明

    日本人でしたら漆塗りを施した漆器などを一度は手にしたことがあるのではないでしょうか?
    漆塗りのことを外国では、「JAPAN」と呼ぶそうです。それほど日本の代表と言っても良いこの塗料、実は漆の木の樹液。樹液そのものは触るとかぶれたりもしますが、硬化後はかぶれることも無く、ウレタン等の化学製品ではなく身体に無害な自然塗料となります。強靭な塗膜は酸やアルカリにも強く、高温にも耐えると言う、日本が誇る世界的にも優秀な塗料です。
    漆器として良く見られるものは、綺麗な朱色や漆黒の黒漆で、漆と言うのは朱色や黒色をしているものだと思っている方が結構おられるようですが、漆の樹液は茶褐色のクリーム状で空気に触れることで黒っぽく変化してきますが、樹液自体は褐色の透明。木に塗布すると日を追うごとに透明度が増していきます。採取した樹液からゴミなどを除去したものを一般に「生漆(きうるし)」と言い、拭き漆などに使用される基本的な塗料となります。

  • オイルについてのご説明

    梩でのオイル仕上げは、くるみオイルを使用しております。高級料理にも使用される食材なので身体にも安全です。オイル仕上げは、木地に乾性油(荏油やくるみ油等)を染み込ませ、木地を補強しつつ、木肌表面をしっとりナチュラルな感じに仕上る手法です。木が持つ自然な質感が得られますが防水性はありません。その為、あまり耐水性の無い樹種には使用を避けるべきです。
    くるみオイル等の乾性油とは、一般的に空気中の酸素と反応を起し、ゼリー状に固まるもので、塗料の様に硬化するのではありません。またオリーブオイル等の不乾性油は、その様な状態にはならずいつまでも粘度は変わらない為、木肌に塗布した場合、長時間をかけて内部に浸透すると言われています。人の油も不乾性油に属します。木質保護に使えるのは上記、乾性油と不乾性油で、サラダ油等、半乾性油類は、完全に乾かずベトベトした状態になるので、使用できません。

  • ウレタンについてのご説明

    ウレタン塗料は液体状態では有害な物質を含んでいますが、硬化後は無害となっています。昨今、家具などには多用されていますし、お箸にも使用されている例は沢山あります。しかし梩では、直接口にする箸先にはウレタン使用を厳禁とし、持ち手部分にのみ使用させて頂いております。例えば木肌の色合いが特徴的で綺麗な樹種の場合、漆を塗ると如何しても漆の茶褐色が前面に出てしまい、折角の色合いを損なってしまう為です。また、オイル仕上げを用いても構わないのですが、オイルでは耐水性が十分でない為、腐りやすい樹種には適さない場合があるためです。若干、木の持つ風合いが損なわれ無機質な感じになりますが、クリアな硬質塗膜ですので木の色合いはそのまま美しく仕上がりますので、綺麗な樹種には適しているとも言えます。

  • お箸のメンテナンス

  • NGCC仕上げの場合

  • NGCC仕上げの日常メンテナンスですが、木の内部まで浸透し繊維レベルでコーティングが施されているので、特に気遣って頂く必要はありませんが、表面のコーティングはやはり日常の使用で剥離等が起こります。艶が無くなってくるなど視的な劣化があるかも知れませんが、実用的にはほとんど問題がありません。樹種により差はありますが撥水性が無くなったと感じた場合はオイルと同様に、くるみオイル等の乾性油で拭きあげて下さい。乾性油が無い場合はオリーブオイル(不乾性油)でも構いません。

  • 漆仕上げの場合

  • 取扱が大変そうと敬遠する方も多いようですが、さほど神経質になる必要もありません。まず漆が苦手とする次のようなことに注意して下さい。

  • 紫外線に長時間当てないようにする。
  • 食器洗い機・乾燥機などの使用は避ける。
  • タワシで擦る等、強い摩擦は避ける。

  • 紫外線に長時間さらされたり、急激な温度変化・乾燥はひび割れの原因となりますので控えてください。洗浄はスポンジに中性洗剤をつけ手洗いをお勧めします。
    過信は厳禁ですが、漆に含まれる酵素には滅菌作用がありますので、手洗いで汚れを洗い流すだけで十分です。傷の原因となりますので、あまり強くこする必要もありませんが、はれ物に触る様な扱いをする必要もありません。汚れはしっかり洗い落として下さい。

    また、漆がどれだけ強固な塗料でも、やはり長期間使っているうちには、くすんで来たり、傷が付いたり、部分的に欠けたり剥がれ落ちたりもします。
    くすみはオリーブオイル等に歯磨き粉を少量混ぜ、柔らかい布等で磨いてください。艶が戻ります。
    傷や剥がれは塗り直しをしないと復元は不可能となりますが、木地が見えるような酷い傷みにならば、とりあえず木地が水の吸収をするのを抑える為に、応急処置としてオリーブオイル等で拭きあげて下さい。

  • オイル仕上げの場合

  • オイル仕上げの日常メンテナンスは表面の油分が無くなって来るか、または3ヶ月程度を目安に、くるみオイル等の乾性油で拭きあげて下さい。乾性油が無い場合はオリーブオイル(不乾性油)でも構いません。
    また、一般的に比重の高い樹種は表面処理をしなくてもご使用頂けるものが多いですが、それらの樹種も日頃のお手入れとして、上記のようにオイル拭きをし油分を与えることで、より長くご使用頂けます。

  • ウレタン仕上げの場合

  • ウレタンの塗膜は比較的丈夫で傷が付きにくく、メンテナンスフリーな塗装と言えます。しかし幾ら丈夫でもやはり傷は付きます。また箸先は漆ですのでお箸の扱いは、上記、「漆仕上げの場合」に準じて下さい。

    仕立て直しサービスについて

    ご注文時、拭き漆仕上げでご注文頂いた場合に限りますが、有効期限18ヶ月、又は2回までのどちらかを限度に箸先の拭き直しをさせて頂きます。また、箸先が折れ使いづらくなったお箸も、お気に入りのお箸を出来るだけ末永くお使い頂く為に、オイル、漆に限らず再度削り出しさせて頂きます。どうぞご利用下さい。(箸先の折れの修復の場合、箸長さは削る分短くなることをご了承下さい。元の長さには修復できません。修復のご判断はお客様にてお願い致します。)